生きているうちに生きている人の葬儀を行うことを「生前葬」と言います。
一般的に広く行われているものではありませんが、過去に著名人が生前葬を行なったというニュースを見たことがある方もいるのではないでしょうか。
たとえばアントニオ猪木さんや、サザンオールスターズの桑田圭祐さんなどが生前葬を行ないました。
著名人に限らず、ごく普通の社会生活を送っている人の中で生前葬に興味を持たれている方もいます。
ここでは、生前葬を行なう意味やメリット・デメリットについてお伝えいたします。
目次
生前葬は区切りの儀式
生前葬の定義自体、現在のところ定められたものがありません。
したがいまして生前葬を行う意味も、人それぞれとなりますが、おおむね次のようなことが意味として挙げられます。
- 「人生の節目において区切りをつける為の儀式」
- 「生きているうちに、感謝を言うべき人達に気持ちを伝えておきたい」
- 「生前葬という機会を用意して、会っておきたい人達がいる」
生前葬の事例としては、次のようなケースがあります。
例①
会社の経営者として頑張ってきたが、75歳という年齢を区切りとして引退することを決意。
区切りの儀式として生前葬を行い、今までお世話になったことへの感謝を伝え、また後継者を紹介する場とした。
本人の中では、会社経営者という公的立場を抜け出し、私的立場の人間に生まれ変わるという意味もあった。
例②
末期がんが見つかり、余命半年の宣告を医師から受けた。
今のうちに会いたい人に会っておきたい。
そして生前の御礼含めて、色々話を出来る限りしたい。
その機会として生前葬を行うことを考えた。
例③
長いこと芸事の世界で生きてきた。
80歳を迎えるにあたり芸名を返上し、私人としてゆっくり余生を過ごすことに決めた。
そこで引退式という意味で生前葬を行おうと決めた。
なお、いずれの場合でも必ずしも「生前葬」という名称が使われるとは限らず、「感謝の会」や「お別れ会」などという名称で生前葬が行われることもあります。
生前葬を行うメリット
生前葬を行うことのメリットには、主に次のようなものが挙げられます。
自分で内容を決められ結果も確認出来る
自分の死後に行われる葬儀の内容は、一般的に残された方々によって決められます。
たとえ生前相談で葬儀内容を自分で決めておいたとしても、その通りになったかどうかは自分で確認することは出来ません。
これに対して、生前葬は自分で内容を決められますし、どのように行われたかの結果も自分で確認することが出来ます。
感謝を伝えたい人に直接お礼を伝えることができる
生きているうちに行う生前葬ですから、自分自身が直接お礼を言うことが出来ます。
これは自分の死後に行われる一般的な葬儀では出来ないことです。
直接お礼を伝えられることは、生前葬の大きな特徴のひとつです。
比較的明るい雰囲気で行われ心理的負担が少ない
一般的な葬儀と違い、実際に不幸があったわけではありません。
悲しみにくれる重たい雰囲気は無く、比較的明るい雰囲気で生前葬は行われる場合が多数です。
そのため、遺族や親族、参列者にとっても心理的負担は少なく済みます。
生前葬を行うデメリット
生前葬を行うことのデメリットには、主に次のようなものが挙げられます。
一般的に認知されていない
生前葬は、まだ広く浸透している葬儀スタイルではないため、周囲の理解を得にくい状況です。
そのため、たとえば職場での慶弔休暇は取れないことや、子供の学校を休ませることが難しいなどの問題が生じます。
また、参列される方にも普段馴染みのない生前葬ということで、服装や香典など色々と戸惑い、また心情的にもまだ亡くなったわけでは無いのに…という複雑な思いをさせてしまうことがあります。
そして、生前葬を行うには家族など周囲の方々の協力も必要となるものです。
しかしながら、協力していただく方々から、生前葬を行うこと自体の理解を得ることが、困難となるケースがあります。
総合的に費用がかさむ可能性が高い
生前葬を行った場合でも、実際の死後には最低限火葬を行う必要があります。
また遺族の心情として、前葬を行ったとしても、死後は死後で改めて葬儀を行いたいと考える方もいますので、この場合には生前葬と一般的葬儀の費用が重複してかかってくることになります。
それから生前葬は無宗教で行われることが多いのですが、菩提寺がある場合には、実際の死後、菩提寺に依頼して仏教に基き改めて葬儀を行うことが、基本的に必要となりますので注意が必要です。
生前葬のやり方と費用はこちら
⇒生前葬のやり方と費用!一般的な葬儀より自由度が高いのが特徴
まとめ
生前葬を行なう意味やメリット・デメリットについてお伝えいたしましたが、いかがでしたでしょうか。
生前葬は、まだ広く一般的に行われているものではありませんし、確固たる定義があるものでもありません。
ですから、ある意味とても自由に内容を決めていくことが出来ます。
その際、ここでお伝えいたしました生前葬の意味、メリットやデメリットを参考にして頂ければと思います。
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