世の中、「亡くなったあとまで夫(妻)と添い遂げたい」と考える人ばかりではありません。
夫婦仲が冷め切っているとか、夫の実家と仲が良くないなどの理由から、夫婦別々のお墓に入りたいと考える方もいるようです。
夫婦別々のお墓に入ることは可能なのでしょうか?また可能な場合、どのような方法があるのでしょうか?
ここでは、夫婦別々のお墓にはいることについてお伝えいたします。
目次
お墓を夫婦別々にすることの可否
お墓については「墓地、埋蔵等に関する法律」がありますが、これによって夫婦一緒のお墓に入らねばならないと定められているわけではありません。
また、その他法律でも夫婦一緒にお墓に入らなければならないという決まりはありません。
したがいまして、法律上は夫婦別々でお墓に入っても問題ありません。
結論的には、「お墓は夫婦別々でも入れます」となります。
夫婦別々のお墓にする場合の選択肢
お墓を夫婦別々にする場合、どのような方法があるでしょうか。
主なものを下記に紹介いたします。
お墓を別に建てる
自分が入るためのお墓を新たに建てることです。
自分専用としても良いですし、希望により自分の子供達が入れるようにしておくことも可能です。
なお、墓地や霊園によっては、お墓の継承者がいることを利用条件としているところもありますが、継承を前提としないお墓もあります。
継承を前提としないお墓の場合には、一定期間(たとえば三十三回忌)を過ぎると合祀(ごうし)される規定になっていることが一般的です。
費用としては70万円~150万円が相場となりますので、夫婦別々のお墓に入る方法の中で金額的負担は大きいものとなります。
納骨堂に入る
配偶者が入るお墓ではなく、自分だけ納骨堂に入るという方法もあります。
なかには女性専用の納骨堂もあります。
また女性専用の区画を設けている納骨堂もあります。
夫という立場では男性であるため利用出来ませんが、女性であれば女性専用の納骨堂も選択肢のひとつになるでしょう。
納骨堂に入る費用としては、概ね50万円が平均的なところです。
自分の実家のお墓に入る
妻の立場から夫婦別々のお墓を希望する理由には、「夫の実家のお墓に入りたくない」ということが多く挙げられています。
この場合、自分(妻)の実家のお墓に入るということもひとつの方法です。
すでに有るお墓を利用することになりますので、費用的負担は軽く済みます。
永代供養墓に入る
合祀墓や合葬墓とも呼ばれる永代供養墓に入ることも考えられます。
遺骨を最初から合祀する場合と、一定期間は個別に収蔵されて、その後合祀される場合とがあります。
費用としては、最初から合祀する永代供養墓であれば5万円~30万円が目安です。
散骨を行う
海や山などに散骨を行うことも選択肢のひとつとなります。
ただし、遺骨は粉末状に加工をしてから散骨を行う必要があります。
たとえば海に散骨を行う場合、費用の目安としては10万円~30万円です。
夫婦別々のお墓を希望するときの注意点
お墓を夫婦別々にすることについて法律的には問題ありませんが、注意点があります。
自分の意思を残される方に伝えておくこと
当然のことですが、自分で自分の遺骨をお墓に入れることは出来ません。
遺骨の対応をしてくださるのは残される方です。
そこで子供や友人知人など残される方に、自分の意思を伝えておくことが必要です。
生前に口頭で伝えておくこと以外に、遺言書やエンディングノートに意思を記しておく方法もあります。
自分の意思を伝えておかないことには始まりません。
関係ある方々と充分話し合うこと
配偶者(夫や妻)が健在である場合には、配偶者と話し合っておくことも大事です。
どちらが先に死を迎えるかは分かりませんので、自分の意思を伝え、理解しておいてもらう必要があります。
特に子供がいる場合には、子供にも充分な理解をしておいてもらう必要があります。
自分達夫婦の死後、供養をしていくのは子供が中心ですが、夫婦別々のお墓となればお墓参りなど供養に関する負担も増えます。
また、配偶者の実家とも子供は親戚関係が続いていきますので、夫婦別々のお墓にすることによって親戚関係が悪くならないように配慮することも大切です。
そして、お墓によっては毎年管理料や護寺会費(ごじかいひ)などの費用が発生しますので、お墓が2つあれば2倍の費用を子供が負担していくことになってしまうことも考えられます。
まとめ
夫婦別々のお墓にはいることについてお伝えいたしましたが、いかがでしたでしょうか。
近年は配偶者と同じお墓に入りたくないと考える人も増えており、特に既婚女性が増加傾向にあります。
お墓の在り方も多様化していますので、今後も夫婦別々のお墓を希望される方も増えていくのかもしれません。
「配偶者と同じお墓に入りたくない」と考えたとき、今回の記事が参考になれば幸いです。