エンディングノート、遺言書はともに自分の人生の終末期に向けて自分の意志を文章にして残す方法です。
それではどちらを書いておいても一緒で問題がないかというとそうではありません。
この二つには明確な違いが存在します。
ものすごく極端にいうとエンディングノートはあくまで「こうしてほしいという希望」であり、遺言書は「決めておくので実行するようにという絶対的な命令」といえます。
詳しく書いていきますので二つの違いを理解し自分に合った方法を選びましょう。
目次
エンディングノートとは
書いておくといざというときに自分の事項や意志を家族に提示できるのがエンディングノート。
- 運転免許証やパスポート、有価証券、保険証や実印の在り処
- 銀行の通帳の在り処と暗証番号
- クレジットカードとそのロクインＩＤやパスワード
- 介護・入院・葬儀・お墓・財産についての自分の希望
- メッセージ
などが主に記載され、当人の意思表示が困難になった時から家族の助けになります。
遺言書とは
主に「財産の分け方」について記載した文書が遺言書です。
例えば、
- ・財産を寄付したい
- ・次女だけ財産の分け前を多くしたい
- ・子には財産を渡したくない
などです。
財産分与は民法に定められており、遺言書がなければ民法に従って行われます。
しかし遺言書があれば、民法で定められた方法とは違う財産の分け方を指定することが可能なのです。
遺産相続は遺産「争」続と言われるほど、遺族にとって重要で大変なことです。
遺言書があれば「争」続は間違いなく起きにくくなりますので、書くことをお勧めします。
身内がいない場合、民法では財産は国に帰属します。
どこかに遺贈したい場合にも遺言書が有効です。
もっと比べてわかるエンディングノートと遺言書の違い
遺言書には法的効力がある
エンディングノートには存在せず、遺言書に存在するのが法的効力です。
つまり、エンディングノートは実行しなくても問題はありませんが、遺言書に書かれた内容は必ず実行しなければいけないということ。逃れることはできません。
ただ、法的効力が発生するのは「財産」の部分に関してのみで、それ以外の文言には効力は及びません。
しかし、財産分与にあたっての理由やお墓の希望など遺言書に記載すること自体は可能となっています。
- 海に散骨してほしい
- 実家の墓にいれてほしい
- 次男の嫁がよく世話をしてくれたので多めに財産をわけたいと思った
など、付言文書として遺言書に記載できます。
ルールはエンディングノートがハードル低め
エンディングノートは書く内容に制限もなく何でも記載できるのが特徴。
そもそも、決められた書き方がないので人それぞれ自由に書いていくことができます。
ノートでなく、メモ帳でもレポート用紙に書いても大丈夫。
何度書き直してもかまいませんし、自筆でもパソコン・ワープロで書いても問題ありません。
遺言書はその強制力の分、遺言書をしたためるために非常に厳しいルールがあります。
ほんの少しでもそのルールを逸脱すると無効となりますので書くには細心の注意が必要です。
法律の詳しいプロに相談することをお勧めします。
ちなみに遺言書には三種類あり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
またすべて書き方を始め、取り扱いが厳正に決まっています。
遺言書の種類
自筆証書遺言
すべて自筆でパソコンは不可の遺言書。
自分で決められた書式に則って書き記し、自分で保管するものです。
一番手軽ですが内容や訂正の仕方まで非常に細かな定めがあり、少しでも書き方に不備があれば無効となってしまいます。
公正証書遺言
公証役場に足を運び、内容を口授し作成してもらうもの。
自分で内容を書き起こすことはしません。
プロに書いてもらえますしその時まで保管もしてもらえるものです。
プロが作りますので無効になるリスクはほとんどありませんが、証人の立ち合いが必要です。
秘密証書遺言
パソコンで作成が可能で自分で書いて公証役場に持ち込み保管してもらうもの。
代筆も可ですが遺言者自身の署名・押印が必要。書き方に不備があれば無効となるリスクがあります。
預ける時に証人が必要ですが誰にも内容を知られることはありません。
遺言書には費用が掛かるものも
遺言書は公証役場にお願いをする公正証書遺言と秘密証書遺言は遺言を預かってもらうための費用が数万円程掛かります。
エンディングノートや自分で書く自筆証書遺言については費用はかかりません。
遺言書は開示にかかる時間が長い
遺言書はこれまた厳格なルールの下で手続きを経て、必要な時に開示されることになっています。
なので、家族が内容を知ることができるのは亡くなった後、時間が経ってからになります。
エンディングノートは手続きなど必要ないので、ノートさえあればいつでも家族はその内容を見ることができます。
この時間も考慮したうえで内容を書くことをおすすめします。
まとめ
エンディングノートと遺言書の似て非なる部分をわかっていただけましたか？
違いを理解し吟味したうえで、自分の意志を残すためにどちらか一つか、もしくは両方書いた方がいいのか、判断してくださいね。
個人的には両方書くのがおすすめですね。
エンディングノートを書くメリット・デメリット！自分の意思表示のツールに
